凍結保存
PPOS周期、レトロゾール周期などで、子宮内膜やホルモン値に問題がある周期には、受精卵(胚)を凍結保存して、子宮内膜の状態がよい時に移植を行います。
-196度の凍結タンク内で胚を保存する。
ガラス化保存法(Vitrification)
PPOS周期、レトロゾール周期など、採卵周期に移植できない受精卵を凍結保存する方法です。桑山博士(前加藤レディスクリニック研究開発部長)が開発した凍結技術を発展させた当クリニック独自の凍結技術は、受精卵、胚盤胞、未熟卵、未受精卵、どの生育段階の卵においても高い生存率で凍結が可能になりました。当クリニックでは、おもに前核期胚と胚盤胞で凍結します。
凍結保存した受精卵は子宮内の環境が整い次第、融解し移植します。
胚移植
体外で培養した受精卵(胚)を子宮に戻します。通常は、カテーテルと呼ばれる細い管を用いて超音波誘導下で移植を行います。子宮の入り口からカテーテルが入りにくい方には針で移植する方法もあります。当クリニックでは、この2つの方法を使い分けて子宮の底部に確実に移植します。
凍結融解胚移植
新鮮胚移植を行った場合の余剰胚のほか、着床障害を起こすことが予測される場合に、積極的に受精卵(胚)を凍結保存しています。
例えば、
- 卵を育てながら黄体ホルモンを服用した場合(PPOS周期)
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を重症化するのを予防する目的で、採卵数10個以上の場合
- 子宮内膜が6mm~7mm以下もしくは形状が3層構造ではない場合
- ホルモン環境が悪い場合(E2・P4の値が高い)
- 子宮内膜と胚の同調性を高める目的で、頻回の胚移植で妊娠に至らない場合
- レトロゾールを投与している場合
- 胚盤胞移植(完全自然周期の5日目胚盤胞移植を除く)
凍結融解胚盤胞移植
凍結技術(ガラス化保存法)の導入により胚盤胞凍結の損傷率が非常に少なくなりました。胚盤胞まで胚を培養した場合、胚の発育は体内で培養された場合と比べるとスピードが遅く、子宮内膜が着床のポイントに達したときに、胚盤胞に発育してなくて、胚の状態がよいにもかかわらず、内膜と胚の同調性が悪く妊娠できない例が多々あります。
そこで、凍結融解胚盤胞移植とホルモン補充周期移植を併用し、子宮内膜と胚の同調性を高めることが可能となり、非常に高い妊娠率を得ることができました。
ホルモン補充周期胚移植
凍結胚を移植する場合、できるだけ子宮内の環境を良くしなければいけません。当クリニックでは子宮内膜の厚さ・形状を整えることはもちろん、正確にホルモン値をコントロールすることによって妊娠しやすい体にして胚移植を行っています。
独自開発のやわらかく細いカテーテルによる胚移植
永遠幸グループでは、独自に開発したカテーテルを使用します。一般的なカテーテルが6フレンチというサイズなのに対して当クリニックでは2フレンチ(約2分の1の太さ)を開発し、素材も従来のテフロンという堅い素材のものからシリコンという非常に柔らかいものに変更しました。操作性と柔らかさの間には相反する関係があり通常カテーテルには一定以上の堅さが要求されるのですが、これを独自の技術で解決しました。
多胎妊娠を避けるための単一胚移植(SET:single embryo transfer)
私たちは多胎妊娠予防のため、現在では100%、1個の受精卵(胚)だけを子宮に戻す方法を取り入れています。これにより多胎妊娠を完全予防できるようになりました(一卵性双胎は除く)。
>> 加藤レディスクリニック名誉院長論文「多胎妊娠予防のためのSETの現状と展望」
子宮内膜異常の治療
子宮内膜ポリープなど、子宮内腔に異常があると、胚が子宮に着床する障害になります。内膜の異常を発見した場合、できるだけ簡単で有効的な治療を胚移植前に行い、着床しやすい状態とします。