保険適用のタイミング法……排卵と夫婦生活のタイミングを合わせます
保険治療におけるタイミング法は、排卵誘発剤を用いて卵胞の成長を助けながら、超音波検査で卵胞の直径を計測して排卵日を正確に予測し、最適なタイミングでの夫婦生活を指導する治療法です。
月経周期が不規則になりがちな方のほうが適していますが、月経が規則的な方でも、ほかに大きな原因が見つかっておらず、時間がかかっても、できるだけ自然な方法からチャレンジしていきたいというご希望がある場合には、ある程度の期間に限定して試してみられることをおすすめします。
なお、本治療においては、hCG製剤を注射して、より確実に排卵を促します。
保険治療のタイミング法を行う場合には、自然に排卵がある方でも排卵誘発剤、排卵促進剤(hCG製剤)などの薬剤を用いる必要があります。
<卵胞の成長と排卵の様子>
女性は、自身が胎児だったときに卵巣内でつくった卵子を、原始卵胞(卵子を含んだ袋)のかたちでストックして生まれてきます。思春期になると、原始卵胞の一部が徐々に目覚めて排卵を目指して成長を開始し、初潮を迎えます。毎月左右いずれかの卵巣から、最終的に卵子1個が排卵されますが、月経中の卵巣には、当初、複数の小さな卵胞が観察されます。その中から、月経の8~10日目頃までに卵胞1個(主席卵胞)だけが選ばれて成長を続け、自然周期の場合、約14日間で成熟卵胞になり卵子を排出します。これが、排卵です。卵子は、卵管の先端部(卵管采/らんかんさい)にピックアップされて卵管内へと取り込まれ、精子との受精の機会を待ちます。卵子を排出したあとの卵胞は、黄体に変わり、妊娠が成立しなければ、約14日間で消失して白体になります。
タイミング法(保険治療)は、このような方に適した治療法です
- フーナーテストが良好で、卵管の通過性が確認できている方
- できる限り自然に近い方法から試したい
- 月経周期が不規則で排卵日予測の難しい方
- 奥様のご年齢が比較的若く、不妊期間が短い
フーナーテストの結果が良好で、不妊期間が短く、卵管の通過性が確認されており、なおかつ奥様のご年齢が卵巣機能の低下までに余裕がある場合には、3~6カ月程度(期間はご年齢によって考慮)は試されてみても良いと考えます。
不妊治療の進め方……私たちは、こう考えます
タイミング法を続けた結果、その間もフーナーテストが良好であるにもかかわらず、妊娠に至らなかった場合、それは排卵のタイミングに合わせて子宮内に十分な数の精子が侵入できているにもかかわらず、妊娠できていないことを意味します。
そのようなケースの場合には、子宮内への精子の侵入を助ける治療法である人工授精が有効であるとはいえないため、確実に卵子と精子が出会える体外受精などのARTに進まれることをおすすめいたします。
通院スケジュール
あくまでも参考スケジュールとなります。個々の症状や月経周期の長さ等により異なります。
月経3~5日目
月経3~5日目頃に内診を受けていただいたうえで、排卵誘発剤(シクロフェニル製剤もしくはクロミフェン製剤)の服用を開始します。
月経10~12日目頃
2回目の診察は月経10~12日目頃、超音波検査で卵胞の直径を測ります。卵胞の大きさだけでは正確な排卵のタイミングをつかむことは不可能なので、ホルモン値の検査(採血)を行い、最適なタイミングを計り、排卵を後押しする排卵促進剤(hCG製剤)を投与したうえで、その翌日に夫婦生活の機会を持つよう指導します。
オーダーメイドタイミング法(自費治療)とは……きめ細やかな卵胞管理で精度をあげます
保険適用によるタイミング法は、ホルモン検査や内診の回数、使用できる薬剤などが、あらかじめ決められています。そこで、『おち夢クリニック名古屋』では、自然周期でも規則的な排卵のある方、できるだけ不必要な排卵誘発剤や排卵促進剤は使いたくない(月経周期を乱したくない)方などの強いご希望のある方、体外受精などのARTに進む前に少しでも精度の高いタイミング法を受けたいとお望みの方などには、『オーダーメイドタイミング法』(自費治療)をご提案する場合がございます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
オーダーメイドタイミング法(自費治療)は、このような方に適した治療法です
- フーナーテストが良好で、卵管の通過性が確認できている方
- 細やかなホルモン検査や内診で、より正確にタイミングを診てほしい
- できる限り排卵誘発剤を使わず自然周期で試したい(ドラッグフリー周期)
- 月経周期を乱しにくい薬で排卵を誘発したい(レトロゾール周期)
- 排卵のトリガーは、hCG製剤ではなく、自身の黄体化ホルモン(LH)を放出させるスプレー(点鼻薬)で行いたい
- ARTに進む前に一般不妊治療で手を尽くしたい
スタンダードな『タイミング法』と
『オーダーメイドタイミング法』の違い
スタンダードな タイミング法(保険治療) |
オーダーメイド タイミング法(自費治療) |
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卵の育て方 | クロミフェン製剤などの排卵誘発剤を使用 | 月経周期に影響しにくい薬を使用。まったく使用しないドラッグフリーも可能 |
ホルモン検査&内診 | 回数制限あり | 必要と判断した場合には、回数制限なく実施可能 |
排卵のトリガー(促進剤) | hCG製剤(注射) | スプレー(点鼻薬) |
通院スケジュール | 上記 | 基本的には保険治療と同じ |
費用 | 健康保険が適用される | 自費治療のためやや高め |