小卵胞まで採る完全自然周期体外受精ならば、良好卵に出会える可能性も
最近卵子の老化という言葉を良く聞きます。年齢とともに、特に30代後半を境に卵子は急速に老化するというのですが本当でしょうか?確かに年齢とともに原始卵胞数は減少し、排卵周期の発育可能な卵胞数も減少しますが、それと卵子の老化は別の問題です。仮に卵子の老化が年齢とともに加速するのなら、妊娠率はAMHの減少とともに急速に低下しなければなりません。しかし当クリニックの資料(採卵周期を基にしたAMH別妊娠率)では、妊娠率とAMHは比例関係にあるのです。それは卵子数に応じた妊娠が期待できるということを意味します。高等動物であるヒトでは、もともと良好(=正常)卵子の比率は高くありません。従って、卵子数が少なくなれば主席として選択される卵胞内に良好卵子がある可能性は低くなり、染色体異常の発生率も高くなります。また卵胞数が減少すれば、脳ホルモン(FSHとLH)の調整も上手くいかなくなり、特にFSHの上昇は良好卵胞の選択性を低下させます。それは自然排卵に委ねて選ばれる主席卵胞の話であり、30代後半からの自然妊娠率が急減する原因となります。しかし当クリニックの体外受精では、選択された主席卵胞からも選択されなかった小卵胞からも、すべてから卵子を採取してきます。したがってどこかに良好卵子があれば、必ず見つけることができるのです。重要なのはこのような小卵胞卵子は決して自然には排卵されないことと、体外受精・顕微授精以外の方法では受精しないということです。つまり体外受精という人工的方法のみで存在が証明され、生命にまで育つことができるということなのです。
※永遠幸グループ新橋夢クリニック提供データ
AMH低値の方こそ、自然の周期を乱す、むやみな投薬は避けるべき
このように考えると、加齢による妊娠率の低下とは卵子数の減少が本質であり、卵子そのものが老化してダメになってしまうということとはさほど重要な問題ではないと考えられます。ということは、排卵周期がある間は、数は少なくても良好卵子は残されている可能性が十分にあると考えられます。必ず毎周期とは行きませんから出会うには時間がかかるでしょうが、強い意志があれば、そして出会いを妨げることをしなければ必ず出会えると信じています。出会いを妨げることとは、自然の周期ではあり得ないことをすることです。HCG、HMG、クロミフェン、ピルなど卵胞の発育を促進したり抑制したりする薬剤は卵胞発育の連鎖を乱し、翌周期の卵胞数は減少します。卵胞数が減少するということは脳のホルモンバランスを調整している卵胞からのホルモン(インヒビン)が減少することを意味します。特にAMHが低下した年齢が高めの方ではこの影響は大きく、わずかな外部の干渉で卵胞供給の連鎖(今周期、来周期、さ来周期…というように卵胞は周期毎にグループをつくって育ってきます)が著しく乱されることになります。ですから不用意な投薬はできるだけ、特に余力がない年齢が高めの方では一層、慎む必要があります。
しかし何もしない自然状態では通常1個の卵胞しか残らないわけですから、たとえ最初に10個あっても9個は途中で無駄死にすると考えられています。だから投薬をして、すべて育てなければならないという理屈になるのですが、本当でしょうか?もし仮に育った主席卵胞1個からも、育たなかった小卵胞9個からも同じように卵子が採れるとなれば、投薬をしない方が次の周期、その次の周期のことを考えれば良いのに決まっていませんか? このような考えに基づき、我々は“できるだけ自然周期に近い状態で卵胞を育て、独自開発の極細針で小卵胞までをも採卵する”という新たな技術を考え、そして実現しています。
それが『おち夢クリニック名古屋』独自の完全自然周期(ドラッグフリー)体外受精であり、レトロゾール低刺激周期体外受精です。卵子老化という取りつく島のない宣告に対する我々のメッセージは、勉強会にて詳細に説明しています。